バンク・オブ・アメリカの独自指標「ブル&ベア・インディケーター」が9.6まで上昇し、市場心理が「極度の楽観」領域に入ったことを示唆している。この指標は株式、債券、コモディティ、現金への資金フローを追跡しており、世界的な投資家のリスク許容度が、過去に急激な調整を招いた水準で推移していることを物語る。
こうした読み取りは、貴金属の堅調さを背景に現れている。金価格は2026年7月も猛烈な上昇を続け、1オンス=4,600ドルで取引されている。株式市場への熱狂とハードアセットへの需要が同時に高まっていることは、投資家がリスクオンとリスクオフの両方のエクスポージャーを、単一の上昇相場の中でヘッジし合っているという複雑な構図を描き出している。
バンク・オブ・アメリカの指標は本質的にコントラリアン・シグナルであり、10の閾値に近づくほど、過去には警戒サインを点灯させてきた。前回、同水準に接近した際には、数週間以内にモメンタム銘柄からディフェンシブ銘柄への顕著なローテーションが見られた。9.6という値はまだ本格的な売りシグナルには至っていないが、過去に過熱感を伴った領域に差し掛かっている。
今回の局面は、従来のサイクルとは明確に異なり、伝統的に避難資産とされてきた金が、リスク回避の代替手段としてではなく、楽観相場に参加している点にある。この共同変動は、従来のリスクオン/リスクオフの枠組みを揺るがし、インフレや通貨切り下げ、地政学的不安といったマクロの不確実性が、資産配分の意思決定を全方位で駆動していることを示唆している。現時点では、BoAの指標が「ほぼ完璧な条件」を織り込んでいる市場の温度計として機能している。この指標が適時の警告となるのか、それともフェイクシグナルに終わるのかは、今後の決算や経済指標が、現在のバリュエーションに織り込まれた楽観を裏付けられるかどうかにかかっている。